東日本大震災を受け、金融庁は28日、貸金業法施行規則の一部を改正した。被災者に対しては、年収の3分の1を超える借り入れを禁止する総量規制が義務付ける手続きを緩和するなどの特例を設け、生活資金などとして借り入れしやすくする。28日から施行し、10月末まで適用する。
総量規制は、緊急に必要な資金については10万円を限度に例外扱いを認めており、被災者の生活資金も対象になる。従来は領収書などを貸金業者に提出する必要があったが、被災者の負担が大きいため不要にする。また、返済期間も「3カ月以内」を「半年以内」に延長する。
総量規制の対象にならない個人事業主の借り入れも、融資額が100万円以上の場合に提出を求めていた事業計画や資金計画を簡略化。キャッシングが100万円を超えると必要だった源泉徴収票などの年収証明書も提出期限を半年まで延長する。
金融庁は「避難所から仮設住宅に移行する段階になれば資金需要が出てくる」と改正の狙いを説明。総量規制の凍結まで踏み切らなかったことについては「国や自治体の被災者支援もある。多重債務の問題を防ぐためにも、返済能力を超えない範囲での貸し付けを維持する必要がある」と強調した